久々の東京入管

久しぶりに東京出入国管理局まで足を運びました。行きは健康のためと品川から歩きましたが、帰りはさすがに疲れてバスにしました。
相変わらず外国の方で込み合っていました。コロナも終息して外国人の人も増えてきているなと感じました。

先日の日経新聞の記事にも出ていましたが、技能実習生の行方不明者が多いのには悲しい気持ちになります。これからの日本は日本人だけで支えていくことは不可能です。特定技能の在留資格を増やすような政策も考えられていますが、政府も積極的に取り組んでもらいたいです。
天気の良い中歩きながらそんなことを考えていました。

定住者(ビザ)

在留資格「定住者」は、日本人や永住者と同様に日本での就労活動に対する制限はありません。日本国内で自由に就労することが可能です。定住者には、告示によってその類型が定められた「告示定住」と、それ以外のケースに対応するための「告示外定住」があります。

告示定住

-在留資格取得証明書の対象になりますー

上陸を許可される告示定住については下記のものがあります。
告示「定住者」の在留資格による新規の入国については、法務省の「告示」で定められ、以下の外国人は一定の要件を満たせば「定住者」の在留資格で入国することができます。


告示1号・・・難民(国際高等難民弁務官事務所が保護が必要と認めた者)

告示3号・・・日本人の子として出生した者(1世)の実子(2世、3世)で素行が善良な者

告示4号・・・日本人の子として出生した者で、かつて日本国民として日本に本籍を有したことのある者(1世)の実子(2世)の実子(3世)で素行が善良な者

告示5号・・・「日本人の配偶者等」、「定住者」の配偶者


イ.日本人の子として出生した者で「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者の配偶者
ロ.告示3号・4号定住者以外の1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者
ハ.1年以上の在留期間を指定されている「告示3号・4号定住者」の配偶者で、素行が善良な者

告示6号・・・扶養を受けている未成年・未婚の実子


これは主に外国人配偶者の前婚の子(連れ子)を呼び寄せる場合の規定で、概略は、帰化した日本人、「日本人配偶者等」、「永住者」、「永住者の配偶者等」、「特別永住者」、「定住者」のいずれかの者の扶養を受けて生活する未成年・未婚の実子が該当します。
イ.日本人(帰化により日本国籍を取得した者)、永住者、特別永住者の扶養を受けている未成年・未婚の実子
ロ.告示3号・4号定住者及び告示3号・4号定住者の配偶者(表1のハ)以外の1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の扶養を受けている未成年・未婚の実子
ハ.告示3号・4号定住者又は告示3号・4号定住者の配偶者(表1のハ)で、1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の扶養を受けている未成年・未婚の実子で素行が善良である者
ニ.日本人、「永住者」、「特別永住者」、1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の配偶者で、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の在留資格で在留する者の扶養を受けている未成年・未婚の実子
断されれば不許可となります。

告示7号・・・日本人、永住者、定住者(1年以上の在留期間)、特別永住者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子
告示8号・・・中国地域・樺太地域の残留邦人、その配偶者・子・その親族


中国残留邦人とは・・・昭和20年9月2日以前から引き続き中国地域に居住し、同日に日本に本籍を有していた日本国民、これらの者を両親として昭和20年9月3日以降中国で出生し居住している実子、その他昭和20年9月2日以前から樺太地域に居住している者などこれらに準ずる者です。


「素行が善良」とは

/日本国以外の国の法令違反による犯罪歴を確認する為、国籍国や入国前居住国の犯罪経歴証明書が求められます。また日本の法令違反については、検察庁へ前科の照会をされ、以下のいずれにも該当しないことが求められます。
この素行が善良であることは、在留資格更新についても重要です。日本にいる間に素行が悪かったら、入 管としては厳しい目でチェックします。重視されるポイントなので、注意する必要があります/


1.日本又は日本以外の国の法令に違反して、懲役、禁固、罰金刑に処せられたことがある者(道路交通法違反による罰金を除く。)


ただし以下の場合には該当しないものとして扱います。
・懲役又は禁錮について、いずれかに該当するとき
執行が終わり、又は執行免除を得た日から10年を経過している。
刑の執行猶予の言い渡しを受けた場合で、執行猶予期間を経過したとき。
・罰金刑について、いずれかに該当するとき
執行を終わり、又は執行の免除を得た日から5年を経過している。


2.少年法により保護処分が継続中の者

3.日常生活・社会生活において、違反行為・風紀を乱す行為を繰り返し行うなど素行善良とは認められない特段の事情がある者。

4.他人に入管法に定める証明書交付又は許可目的で不正な行為を行った者、不法就労斡旋を行った者

告示外定住

「定住者」への在留資格の変更は、特別な事情を考慮した「告示外定住」として以下のようなケースの要件を満たせば認められる場合があります。


ケース1・・・日本人、永住者、特別永住者である配偶者と離婚後または死別後、引き続き日本に在留を希望する者


① 独立した生計を営むに足る資産や技能を有すること
② 最低満3年以上(死別の場合は1年以上)の法律婚及び夫婦として共同生活の実態があること(離婚の場合は離婚に至 った経緯や今までの在留状況も審査の対象となり、元の配偶者から事情を聴取することがあります)
③生計を営むに足る資産又は技能を有すること
④公的義務を履行していること

ケース2・・・日本人の実子を監護・養育する者


①独立した生計を営むに足る資産や技能を有すること
(充分な独立生計能力がなく、一時的に公的扶助を受けていても、将来の自活に備える予定や計画があれば許可されることがあります。)
②日本人実子の親権者であること
(日本人の実子とは、出生時父母どちらかが日本人で、婚姻関係にある・なしに関わらない。 実子は日本国籍でなくても良いが、婚姻関係にない父母の子は日本人父から認知されていなければならない。)
③ 現に相当期間監護養育していること
※ケース2は、未婚の母である外国人と日本人の子として出生し日本人親に認知されている子を救済する趣旨がありますので、妻のある日本人父と外国人の愛人との間に出生し、日本人親に認知されている子も対象となります。
なお、外国人母と日本人父の間に出生した子で、日本人父に認知されている20歳未満の子は、法務大臣への届出により日本国籍が付与されますので、その場合、子については入管法の枠外となります。

その他にも様々なケースで「定住者」の資格を取得できる可能性はあります

短期滞在(在留資格:VISA)

海外から日本に来る外国人の数が、コロナも終わって増えてきています。
観光で日本に来るには、「短期滞在」という在留資格が必要です。では日本に観光できている外国人は査証(VISA)を持って来ているのでしょうか。普通日本に来るには、査証が必要です。

しかし、皆様もご存じの通り、査証免除国があります。よって、多くの国の方が査証を持たないで、観光に来ているのが現状です。
では今回は在留資格「短期滞在」について簡単に説明します。

「短期滞在」の概要

「短期滞在」の在留資格は、人との国際交流の活発化に対応し、観光客、短期商用者等、日本に短期間滞在する外国人を幅広く受け入れるために設けられたものです。そして外国人が就労活動を行うことができない在留資格です。資格外活動許可に関しても、原則許可されません。「短期滞在」の在留期間は90日、30日又は15日以内の日を単位とする期間です。
「短期滞在」には在留資格認定証明書の制度はありません。そして上述したように、査証免除国の外国人は出入国港で入国審査官に目的を説明して上陸許可を受けます。査証免除国以外の外国人は、在外公館で短期滞在査証を得たうえで上陸しなければなりません。

「短期滞在」で認められる活動

①観光、娯楽、参詣、通過の目的での滞在
②保養、病気治療の目的での滞在
*90日を超える場合は「特定活動」になります
③競技会、コンテスト等へのアマチュアとしての参加
④友人、知人、親族等の訪問、親善訪問、冠婚葬祭等への出席
⑤見学、視察等の目的での滞在
⑥教育機関や企業等の行う講習、説明会等への参加
⑦報酬を受けないで行う講義、講演等
⑧会議その他の会合への参加
⑨日本に出張して行う業務連絡、相談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査その他のいわゆる短期商用
⑩日本国を訪れる国公賓、スポーツ選手等に同行して行う取材活動等、本国での取材活動に付随した一時的用務としての報道、取材活動
⑪日本の大学等の受験、外国法律事務弁護士となるための承認を受ける等の手続き
⑫報酬を受けずに外国の大学生等が学業等の一環として日本の行使の機関に受け入れらて実習を行う90日以内の活動
⑬その他日本において収入を伴う事業を運営し又は報酬を得る活動をすることのない短期間の滞在

*業として行うものでない講演に対する謝金、日常生活にともなう臨時の報酬等は上記の収入、報酬には当たりません
*役務提供が日本で行われ、その対価として給付を受ける場合は、対価を支給する機関が日本にあるかどうか、日本国内で支給するかどうかに関わりなく、報酬を受ける活動になります。

「短期滞在」に係る在留期間更新許可申請の扱い

「短期滞在」の在留期間更新許可の要件としては、人道上真にやむを得ない事情又はこれに相当する特別な事情があることが要求されます。例えば、疾病等により引き続き在留を認める事情があり、更新が真にやむを得ないといったことです。
また、原則として入国日から通算して180日を超えないことも求められ、これを超える場合はより慎重に審査が行われます。

「短期滞在ビザ」申請のための必要書類

-ベトナムから短期滞在で人を招聘する場合の例-

特別許可

本日のニュースで次のようなことが伝えられていました。

齋藤法務大臣は記者会見で、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもについて、親に国内での重大な犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば「在留特別許可」を与え、滞在を認める考えを示しました。このなかで齋藤法務大臣は、日本で生まれ育った在留資格のない子どもについて「子ども自身には責任がないのに不便な生活を強いられており、何とか救えないかという思いで真剣に検討してきた。これからは日本で安心して生活して夢を実現してほしい」と述べました。
そのうえで、▽日本に住み続けることを希望している小学生から高校生までの子どもで、▽親に不法入国や薬物の使用といった国内での重大な犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば、親子に「在留特別許可」を与え、滞在を認める考えを示しました。
出入国在留管理庁によりますと、在留資格のない18歳未満の子どもは全国におよそ200人いて、7割から8割の子どもに「在留特別許可」が与えられる見通しだということです。こうした子どもは、住んでいる都道府県からの移動やアルバイトなどが制限されてきましたが、特別許可を与えられれば制限も大幅に緩和されるということです。

確かに子供に責任はないし、今後日本国で生活していくうえで、在留資格がないことは不便を通り越して、死活問題にもなりかねないことなので、非常に良いことだと思います。また、こういった子供が200人もいて、当然18歳以上の子供もたくさんいるのでしょうから、そういった人たちの扱いもどうするのか非常に大きな問題かなと思ったりします。

ところで、特別許可とは何でしょうか。普段、あまり耳にしない言葉なので、簡単に記述しておきます。特別許可は入管法の第50条に書かれています。

第五十条 (法務大臣の裁決の特例)法務大臣は、前条第三項の裁決に当たって、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。

一 永住許可を受けているとき。
ニ かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
(以下略)
今回はこの4号のよる処置になります。前条第三項とは強制退去のことです。


例えば、親が不法滞在のまま日本に居住し、その後子供が生まれて、その子が大人になるまでその子に日本で生活する資格がない。日本だけの問題とは思いませんが、何か良い手立てはないものかと思ったりします。

特定活動46号

特定活動46号は2019年5月に開始された、特定活動の在留資格の一つです。
日本の4年生大学卒業以上を対象に、外国人留学生の就職できる職業の範囲を増やしました。
今までの「技・人・国」では、職業と大学で専攻した学問との関連がないと、申請が許可されませんでしたが、外食、宿泊などの現場での仕事も可能になっています。(風俗営業等は認められません)
非常に今後期待される資格なのですが、日本語能力の要件等が非常に厳しく、なかなか活用されていないのが実情です。
始まって間もないため、社会のニーズとすれが生じているところもありますが、検討の余地が多く残る在留資格です。

要件

①本邦の大学(短期大学を除く)を卒業し又は大学院の課程を修了して学位を授与されたこと

日本の4年生大学の卒業及び大学院の終了に限られます。短期大学及び専修学校の卒業並びに外国の大学の卒業及び大学院の卒業は対象になりません。
日本語能力については①日本語能力試験N1、BJTビジネス日本語能力480点以上等が求められます。

②日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
③日常的な場面で使われる日本語に加え、論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面で使われる日本語を理解する能力を有していることを、試験その他の方法により証明されていること

a 日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する者
b 大学又は大学院で日本語を専攻して卒業した者

④本邦の大学又は大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用すると認められること

「技術・人文知識・国際業務」は専攻科目に関連する専門性が求められますが、「特定活動46号」は、専門科目、一般教養科目に関連する業務が含まれている限り、現場業務に従事することが認められます

具体的な活動例

ア 飲食店に採用され,店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うもの(日本人に
対する接客を行うことも可能です)
※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。


イ 工場のラインにおいて,日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外
国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ,自らもラインに入って業務を行うも
の。
※ ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。


ウ 小売店において,仕入れ,商品企画や,通訳を兼ねた接客販売業務を行うもの(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能です)
※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。


エ ホテルや旅館において,翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設,更
新作業等の広報業務を行うものや,外国人客への通訳(案内)を兼ねたベルスタッ
フやドアマンとして接客を行うもの(日本人に対する接客を行うことも可能です)
※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。


オ タクシー会社において,観光客(集客)のための企画・立案や自ら通訳を兼ねた
観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの(通常のタクシードライバ-
ーとして乗務することも可能です)
※ 車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。
※ タクシーの運転をするためには,別途第二種免許(道路交通法第86条第1
項)を取得する必要がありますが,第二種免許は,個人の特定の市場への参入
を規制することを目的とするものではないことから,いわゆる業務独占資格に
は該当しません。


カ 介護施設において,外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら,日本語を
用いて介護業務に従事するもの。
※ 施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。


キ 食品製造会社において,他の従業員との間で日本語を用いたコミュニケーション
を取りながら商品の企画・開発を行いつつ,自らも商品製造ラインに入って作業を
行うもの。
※ 単に商品製造ラインに入り,日本語による作業指示を受け,指示された作業
にのみ従事することは認められません。