永住許可は他の在留資格に比べて大幅に活動制限が緩和され、在留期間に制限もありません。
できるだけ永住許可に切り替えることをお勧めします
永住権とは
永住権とは、在留期間の制限なく日本に滞在できる権利であり、永住許可は、外国人が永住者への在留資格(ビザ)変更を希望する場合に、法務大臣が与える許可です。
永住許可を受けた外国人は、「永住者」の在留資格(ビザ)で日本に在留することになり、在留期間、在留活動のいずれも制限されないことから他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和され、日本人と同様に安定した生活を営むことが可能となります。
しかし永住者と言えども、退去強制の事由に該当する場合には退去を強制されることもある為、「永住者」の在留資格取得後でも注意が必要です。
会社を転職する時、配偶者と離婚をした時などは、ビザが取り消されることがあります
永住ビザなら安心です
永住ビザを取得するメリット
①在留資格更新が不要
「永住者」ビザは在留期限が無期限のため、ビザを更新する必要がありません。
②在留活動の制限がない
どのような職業に就くことも可能です
③銀行からの融資などが受けやすくなる
通常の在留資格でローンを組むことは大変です。永住者の場合は住宅ローンなどが組みやすくなります
④離婚しても日本に滞在できます
日本人の配偶者とかと違い、離婚しても永住権は失われません
日本に長期にわたり滞在している方はより安定した資格である永住者ビザに切り替えることをお勧めします
永住許可の要件
永住許可を得るには次のような要件が必要です
1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることで、次のア、イ、ウにいずれにも該当しないこと。
ア)日本国の法令に違反して、懲役、禁固または罰金に処せられたことがある者
執行猶予の言い渡しを受けた場合で、執行猶予期間を経過した者及び復権により資格を回復した者はこれに該当しない
禁固以上の刑の執行が終わり又は免除を受けた者が、罰金以上の刑に処せられないで10年を経過した時は、刑の言い渡しは効力を失います
罰金刑の場合は5年を経過した時は同様です
法令違反などで処罰を受けた場合は永住許可申請のハードルが高くなります
イ)少年法による保護処分が継続中の者
ウ)日常生活または社会生活において、違法行為または風紀を乱す行為を繰り返しおこうな等素行善良と認められない特段の事情がある者
道路交通違反などの軽微なものでも、繰り返し行う者はこれに該当します。飲酒運転、無免許運転、20KM以上のスピード違反などは1回でも該当することがあります。
反省文・誓約書を添付することで素行善良要件を満たすとされることもあります。
また窃盗(万引き)歴、包括的資格外活動許可で週28時間以上働いている場合などもこれに該当します。
交通違反には注意が必要です
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることです。
✓独立生計要件は個人ではなく世帯単位で見ます。また必ずしも収入のみで見るのではなく、預貯金、不動産などの資産も対象になります。
✓「経営管理」などからの永住許可申請の場合は、経営する会社の安定性・継続性なども審査されます。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められるこ
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引続き5年以上在留していることを要する。
引続きの意味は、再入国許可を得て一時的に海外に行く場合は、在留が継続していると判断されます。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
税金、社会保険料などは納期期限に遅れて支払った場合も適正に履行していると認められません
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。当面の間は在留期間「3年」を持って在留している者は、最長の在留期間を持って在留している者と認められます。本体者が3年以上の在留資格を持っている場合、家族滞在のものが3年未満であっても許可の対象になります。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。
在留資格取得による永住許可
通常、永住資格は他の在留資格からの変更で取得します。(永住資格ビザで他国から日本に来ることはありません)。しかし次の場合は永住資格を直接取得できます。
①「永住者」の資格を持って在留する者又は特別永住者の子として日本で出生した者
②日本国籍を離脱した者
上記許可の場合でも日本国の利益に合っていることが求められます
永住者許可申請においての注意点
・永住許可申請中に在留期間が経過してしまう場合には、特例期間の対応がなくビザが失効してしまします。別途在留期間更新申請をおこなう必要があります。
・出生等により「永住者」の在留資格の取得を希望する外国人は、出生後その他の事由発生後30日以内に取得許可申請をおこなわなければなりません。
・再入国許可(みなし再入国を含む)を取得せず単純出国した場合や、出国後に再入国許可の期限が切れた場合には、「永住者」の在留資格を失います。
・「永住者」であっても、退去強制手続きの対象になります。また在留資格取消の対象にもなりますので注意が必要です。
永住許可申請|出入国在留管理庁HP
永住許可事例
1 | 科学技術研究者として活動し,科学技術誌に研究論文数十本を発表した実績が我が国の科学技術向上への貢献があったものと認められた(在留歴9年5月) |
2 | 我が国のアマチュアスポーツ選手として活躍し,その間にW杯への出場やスポーツ指導者として我が国のスポーツの振興に貢献があったものと認められた(在留歴7年7月) |
3 | 音楽分野の大学教授として我が国の高等教育活動に従事し,その間,無償でアマチュア演奏家を指導するなど我が国の教育や文化の振興に貢献があったものと認められた(在留歴5年10月) |
4 | 日本文学研究者として勲3等旭日中綬章授賞のほか各賞を受賞し,文学の分野での貢献があったものと認められた(通算在留歴9年,入国後3月)。 |
5 | 長期間にわたり我が国の大学教授として勤務し,高等教育に貢献が認められた(在留歴7年) |
6 | 大学助教授として我が国の高等教育活動に従事し,その間,科学技術研究者としての成果も顕著であり,多数の科学技術誌への研究論文の掲載の他,各種学会,研究グループの指導等を行い,我が国の産業,教育等の分野に貢献があると認められた(通算在留歴9年5月,入国後7年11月) |
7 | システム開発等の中心的役割を担う立場として顕著な実績を挙げており,その実績は高く評価されていることから,我が国の情報技術産業に貢献が認められた(通算在留歴10年9月,入国後6年) |
8 | 長期間にわたり在日外交官として勤務し,国際関係分野において貢献が認められた(通算在留歴6年3月) |
9 | 本邦での研究の結果,多数の学術誌に掲載し,国際会議での招待講演を要請される等,その分野において国際的に認められている他,国内の企業・研究所との共同研究に携わっており,我が国の学術・技術分野に貢献が認められた(在留歴7年9月) |
10 | 我が国の大学助手として4年以上勤務しており,高等教育活動に従事しているほか,派遣研究員として第三国で研究活動を行う等,研究面においても一定の評価があることから,我が国の学術分野において貢献が認められた(在留歴7年3月) |
11 | 我が国の大学の常勤講師として3年以上勤務しており,我が国の高等教育(外国語)の水準の向上に貢献が認められた(通算在留歴8年1月) |
12 | 我が国の大学助教授として5年以上勤務しており,高等教育(外国語)の水準の向上に寄与しているほか,大学入試センター試験等各種教育活動に参画していることなどから,我が国の教育分野において貢献が認められた(在留歴7年2月) |
13 | 我が国の大学助教授として3年弱勤務しており,我が国の高等教育(情報技術)の水準の向上に貢献が認められた(通算在留歴17年4月,入国後4年11月) |
14 | 我が国の大学の助教授及び教授として5年以上勤務しており,我が国の高等教育(国際法)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴5年6月) |
15 | 我が国の大学助手として3年以上勤務し物理学の研究指導等をおこなっているほか,基礎物理学の研究を行いその成果は学術雑誌に多数掲載されている等,我が国の学術分野において貢献が認められた(在留歴11年2月) |
16 | 我が国の大学教授として3年以上勤務しており,我が国の高等教育(国際政治学)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴13年7月)。 |
17 | 入国以後,我が国の大学で約9年にわたり勤務し,我が国の高等教育(外国の教育学,外国文化)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴8年11月) |
18 | 我が国の大学で教授として通算約22年間勤務し,我が国の高等教育(神経心理学)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴7年6月) |
19 | 生物学研究者として活動し,その研究の成果が実用面への利用されていること等,十分な結果を出していることから,我が国の研究分野において貢献が認められた(在留歴10年10月) |
20 | 入国以後,我が国の大学で教授として8年以上勤務し,我が国の高等教育(情報技術)の水準の向上に貢献が認められるほか,研究分野では国内外から高く評価されていることから,我が国の教育・研究分野において貢献が認められた(在留歴9年9月) |
21 | 医療関係の研究を行っており,関係機関から表彰を受ける等,国内外から高く評価されていることから,我が国の研究分野において貢献が認められた(在留歴9年8月) |
22 | 在日外国公館に通算約10年勤務し,その間に我が国と派遣国の国際交流に貢献があったものと認められた(在留歴8年) |
23 | 入国以後,我が国で先端技術に係る研究を行い,その成果は国内外の学術雑誌への掲載,学会での発表等しており,我が国の研究分野において貢献が認められた(在留歴8年3月) |
24 | 入国以降,一貫して地方における英語教育に従事する一方で,地方の方言で語りながら伝統的楽器を演奏することで伝統文化を内外に宣伝する活動あるいは大学での講義を通じて外国人の視点に立った我が国の地方文化を内外に広める活動を行っており,文化・芸術分野における貢献が認められた。(在留歴7年) |
25 | 我が国の大学の医学部整形外科学講座で3年以上勤務し,整形外科学に係る学術雑誌において多数の論文が特集で掲載され,著名な専門雑誌にも論文が引用されており,研究分野における貢献が認められた。(在留歴13年4月,就労資格変更後3年) |
26 | 我が国の大学の農学部助教授として5年以上勤務しており,我が国の高等教育の水準の向上に貢献が認められたほか,国内及び国外の学会においてその研究成果が高く評価され,著名度の高い外国雑誌に掲載されるなど,研究分野においても貢献が認められた。(在留歴5年7月) |
27 | 入国以来6年間にわたって,独立行政法人に所属しながら我が国の研究所において研究活動に従事しており,専門分野の雑誌に掲載されている論文も多数あり,我が国の研究分野における貢献が認められた。(在留歴6年) |
28 | 我が国の大学の常勤講師として6年以上勤務しており,独自の語学教授法を開発し,教科書の編纂や講師の教育にも従事し,我が国の教育分野における貢献が認められた。(在留歴6年2月) |
29 | 本邦内で,日本応用磁気学会,日本セラミックス協会,日本応用物理学会等において学術活動をし,磁性薄膜及び応用分野の学術・技術発展に貢献し,多数の論文と特許出願を行っており,我が国の研究分野への貢献が認められた。(在留歴8年8月) |
30 | 本邦内の会社員として勤務しながら,電気学会において多数の論文を発表し,学術雑誌等において表彰され,権威ある賞を受賞していることから,研究分野での貢献が認められた。(在留歴10年4月,就労資格変更後4年3月) |
31 | 本邦内の国立大学工学部の教授として約8年間勤務し,我が国の高等教育の水準の向上に貢献したことが認められた。(在留歴8年3月) |
32 | 入国以来,本邦内の大学で,専任講師,教授等として,約7年間英語教育に従事し,我が国の高等教育の水準の向上への貢献が認められた。(在留歴6年9月) |
33 | 本邦内の自動車生産会社に勤務し,粉末冶金関係の論文を多数発表し,日本金属学会誌等に多数掲載されているほか,権威ある協会から表彰されており,産業の発展及び研究分野における貢献が認められた。(在留歴8年6月) |
34 | 本邦内の大学の経済学部博士課程を修了後,大学の教育職員として採用され,約3年間助教授として講義を担当しているほか,国際的ネットワークを構築するためのプロジェクトのメインコーディネーターを任されるなど教育分野での貢献が認められた。(在留歴7年) |
35 | オリンピックに出場した日本人選手のコーチを勤めていたほか,現在も次期オリンピックに出場する見込みのある選手のコーチをしており,その他の活動等を通じて,我が国におけるスポーツ等の振興に多大な貢献のあった者として認められた。(在留歴6年7月) |
36 | 約20年前から日本国内でスポーツ競技大会に出場し,日本において競技生活を続けている者で,権威ある協会から,日本における同競技の発展に大いに貢献している旨表彰されており,我が国におけるスポーツ等の振興に多大な貢献のあった者として認められた。(在留歴7年6月) |
37 | 留学生として約14年間在留し,以降大学の専任講師として約4年間,異文化間コミュニケーション等の授業を担当しており,我が国の高等教育の水準の向上に貢献したことが認められた。(在留歴18年1月,就労資格変更後4年8月) |
38 | 本邦内において,ナノテクノロジー,フルカラー半導体ナノ粒子の合成等に関係する多数の論文を発表しており,日本化学会,高分子学会等において,独自の研究成果を発表していることから,研究の分野への貢献が認められた。(在留歴8年8月,就労資格変更後3年7月) |
不許可事例
1 | 日本産競走馬の生産・育成,輸出,馬産農家経営コンサルタント,講演等を行っているとして申請があったが,入国後1年半と短期であることから不許可となった |
2 | 画家として多数の作品を製作・保有し,美術館の建設後に寄贈するとして申請があったが,在留状況が良好とは認められず(不正な在留に関与),不許可となった |
3 | 外国人の子弟の教育を行う機関において教師の活動を行っているとして申請があったが,当該活動のみをもって社会的貢献等には当たらないものとして不許可となった |
4 | 約1年間,高校で教師をしている他,通訳等のボランティア活動を行っているとして申請があったが,当該活動のみをもって社会的貢献等には当たらないとして不許可となった |
5 | 本邦で起業し,当該法人の経営を行っているが,その投資額,利益額等の業績からは顕著なものであるとはいえず,我が国経済又は産業に貢献があるとは認められず,不許可となった |
6 | 大学で研究生として研究活動を行っているが,教授等の指導を受けて研究している通常の研究生,学生等の範囲内での研究活動であり,研究分野において貢献があるとまでは認められず,不許可となった。 |
7 | 投資関連企業の課長相当職にある人物であるが,当該勤務のみをもって我が国経済に貢献があるとは認められず,他に貢献に該当する事項もないことから不許可となった |
8 | システム開発関連企業の課長補佐相当職にある人物であるが,当該勤務のみをもって我が国経済に貢献があるとは認められず,他に貢献に該当する事項もないことから不許可となった |
9 | 約9年間,本邦に在留し,作曲活動や自作の音楽作品発表会を行い,我が国と本国との音楽分野における交流に努めているとして申請があったが,文化・芸術分野における我が国への貢献とは認められず,不許可となった |
10 | 約9年間,本邦に在留し,我が国の芸能人による本国での公演の実現,我が国と本国の企業交流にかかるイベント実現等を理由に申請があったが,我が国への貢献とは認められず,不許可となった |
11 | 入国後,3年間は留学生として在留し,その後,我が国の大学の医学部助手として5年間勤務していたが,我が国の高等教育の水準の向上に貢献があったものとは認められず不許可となった |
12 | 語学指導助手として入国し,3年間は本邦内の中学校で,それ以降は高等学校において約4年間英語教育に従事していたが,日本の大学又はこれに準ずる機関の常勤又はこれと同等の勤務の実体を有する教授,助教授又は講師としては認められず,高等教育の水準の向上に貢献のあった者とは認められなかった。(在留歴6年11月) |
Q&A
Q 離婚・死別により永住権は取消しになりますか
A 日本人の配偶者等の在留資格は、配偶者との離婚・死別した場合、更新することができず、日本での在留資格を失いますが、永住ビザは離婚・死別した場合でも、永住権が取り消されることはありません
Q 家族で永住権を取る場合、家族全員に10年の在留期間が必要ですか
A 永住権を申請する方が、就労系の在留資格で10年以上在留し、家族が日本で家族滞在で在留しているものの、日本での在留期間が10年に満たない場合、夫が単独で永住権の取得要件を満たし、家族全員を扶養する収入があれば、家族全員で永住権を申請することが出来ます。
Q 永住権を取得すると自由に海外に行くことができますか
A 自由に海外に行くことが出来るかというと、そうゆうわけにはいかず、外国人であることの制約を受けます。1年以内に帰国する場合は、みなし再入国許可の手続きを取ってから出国しなければなりません。みなし再入国許可は延長がありませんので、再入国が1日でも遅れれば、日本での永住権を喪失します。