建設特定技能外国人の雇用手続き
特定技能とは
特定技能は、日本の労働人口の減少を懸念し、創設された新たな在留資格です。これまでの在留資格では認められていなかった外国人労働者を雇用することが可能になっています。人手不足を解消する新たな戦力として非常に期待されている在留資格です。
特定技能在留資格には「特定 技能1号」及び「特定技能2号」があり、定められた特定産業分野で就労することができます。
特定技能1号とは
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
特定技能2号とは
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
特定産業分野とは
特定技能の在留資格で働くことができる業種です。現在12の業種が指定されています。
介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、 自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
(介護分野以外は特定技能2号でも受入れ可)
特定技能1号のポイント
在留期間 :1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新(通算で上限5年まで)
技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
家族の帯同:基本的に認めない
支援:受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象
日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験免除)
特定技能2号のポイント
在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
技能水準:試験等で確認
日本語能力水準:試験等での確認は不要
家族帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子)
支援:受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外
公益財団法人 国際人材協力機構(JITCO)HP
特定技能外国人の受入れ手続き
(例)ベトナム国籍の手続の流れ
1 受入機関と送出機関との労働者提供契約の締結【ベトナム側の手続】
日本の受入機関が、ベトナム国籍の方を送出機関を利用してベトナムから新たに特定技能外国人として受け入れるに当たっては、ベトナムの制度上、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)から認定された送出機関(以下、「認定送出機関」という。)との間で募集する業種や募集人数、労働条件等を定めた「労働者提供契約」を締結することが求められるとのことです。
労働者提供契約締結後、受入機関は認定送出機関を通じてDOLABに対し、労働者提供契約の承認申請を行い、DOLABの承認を得る必要があるとのことです。
2 雇用契約の締結
認定送出機関は、上記1で締結した労働者提供契約に基づいた求人情報を基に適当な人材を募集し、受入機関は、同送出機関から人材の紹介を受けて特定技能に係る雇用契約を締結することになります。
3 推薦者表(特定技能外国人表)の発行申請【ベトナム側の手続】
ベトナム国籍の申請者は、認定送出機関を通じ、あらかじめDOLABから推薦者表の承認を受ける必要があるとのことです。
なお、推薦者表は、ベトナムの制度上、ベトナム国籍の方が海外での就労についてベトナム側の手続を完了したことをベトナム政府が証明する文書とされています。
この推薦者表は、下記4の在留資格認定証明書交付申請において提出する必要がありますので、受入機関は、ベトナム国籍の方に対し推薦者表の送付を依頼してください。
4 在留資格認定証明書の交付申請【日本側の手続】
ベトナム国籍の方をベトナムから新たに特定技能外国人として受け入れるためには、在留資格認定証明書交付手続や査証発給手続といった日本側の手続が必要となります。
これに加え、ベトナム側でもベトナム国籍の方の送出しに伴う一定の手続が必要とされていますので、この手続は日本側の手続ではありませんが、この点も含めて、以下に手続の概要を説明します。
受入機関は、地方出入国在留管理官署に対し、特定技能に係る在留資格認定証明書の交付申請を行ってください。
上記3で発行され、認定送出機関から送付してもらった推薦者表の提出も必要です。
同証明書が交付された後、雇用契約の相手方に対し、同証明書の原本を送付してください。
5 査証発給申請【日本側の手続】
雇用契約の相手方で、特定技能外国人として来日を希望するベトナム国籍の方は、上記4で送付された在留資格認定証明書を在ベトナム日本国大使館に提示の上、特定技能に係る査証発給申請を行うことになります。
6 特定技能外国人として入国・在留【日本側の手続】
上記の手続を行ったベトナム国籍の方は、日本到着時の上陸審査の結果、上陸条件に適合していると認められれば、上陸が許可され、「特定技能」の在留資格が付与されます。
日本在住のベトナム国籍の方の場合は手続きは簡素化されます
受入れ機関(特定技能所属機関)
受入れ機関自体が満たすべき基準
① 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
上記の条件は非常に重要です。
法令違反を犯して外国人を雇用していた場合、労働者を非自発的に離職させた場合または外国人の行方不明者を出した場合など欠格事由に該当し、以後5年間外国人を雇用できなくなる可能性があります
特定技能外国人支援計画
1号特定技能外国人を受け入れる受入れ機関は,当該外国人が「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成し,当該計画に基づいて支援を行わなければなりません。
【支援計画の主な記載事項】
① 事前ガイダンス
雇用契約締結後,在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に,労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について,対面・テレビ電話等で説明
② 出入国する際の送迎
入国時に空港等と事業所又は住居への送迎帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
③ 住居確保・生活に必要な契約支援
連帯保証人になる・社宅を提供する等、銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助
④ 生活オリエンテーション
円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー,公共機関の利用方法や連絡先,災害時の対応等の説明
⑤ 公的手続等への同行
必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行,書類作成の補助
⑥ 日本語学習の機会の提供
日本語教室等の入学案内,日本語学習教材の情報提供等
⑦ 相談・苦情への対応
職場や生活上の相談・苦情等について,外国人が十分に理解することができる言語での対応,内容に応じた必要な助言,指導等
⑧ 日本人との交流促進
自治会等の地域住民との交流の場,地域のお祭りなどの行事の案内や参加の補助等
⑨ 転職支援(人員整理等の場合)
受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや,推薦状の作成等に加え,求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
⑩ 定期的な面談・行政機関への通報
支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し,労働基準法違反等があれば通報
登録支援機関に全部を委託することは可能ですが、これによって受入れ機関の責務が免除されるわけではありません。
しっかりしたチェック体制が必要です。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、特定技能での在留資格で日本を訪れている外国人人材を支援する機関です。今後、特定技能での就労外国人が増えることが予想され、しっかり外国人をサポートしていく支援機関の存在が重要になってきます。
登録支援機関は、受入れ機関との支援委託契約により、支援計画に基づく支援の全部の実施を行います。 登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。 登録を受けた機関は、登録支援機関登録簿に登録され、出入国在留管理庁ホームページに掲載されます。登録の期間は5年間であり、更新が可能です。
登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、定期又は随時の各種届出を行います。
登録支援機関の要件
次に掲げる登録拒否事由に該当しなければ、法人のみならず個人であっても登録が認められます。
① 関係法律による刑罰に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
② 心身の故障により支援業務を適正に行うことができない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者等
③ 登録支援機関としての登録を取り消された日から5年を経過しない者(取り消された法人役員であった者を含む)
④ 登録の申請の日前5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者
⑤ 暴力団員等暴力団排除の観点から定める事由に該当する者
⑥ 受入れ機関や技能実習制度における実習実施者等であった場合において、過去1年間に自らの責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させている者
⑦ 支援責任者及び支援担当者が選任されていない者(支援責任者と支援担当者との兼任は可)
⑧ 次のいずれにも該当しない者
ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ)の受入れ又は管理を適正に行った実績がある者であること
イ 過去2年間に報酬を得る目的で業として本邦在留外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有する者であること
ウ 支援責任者及び支援担当者が過去5年間に2年以上中長期在留者(就労資格のみ)の生活相談業務に従事した一定の経験を有する者であること
エ ア~ウと同程度に支援業務を適正に実施することができる者であること
⑨ 外国人が十分理解できる言語による情報提供・相談等の支援を実施することができる体制を有していない者
⑩ 支援業務の実施状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置かない者
⑪ 支援責任者又は支援担当者が一定の前科がある等の欠格事由に該当する者
⑫ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させる者
⑬ 支援委託契約を締結するに当たり、受入れ機関に対し、支援に要する費用の額及び内訳を示さない者