コラム

親の農地を借りて家を建てたい!許可手続きの詳しい流れを徹底解説

更新日 2025年8月3日 各種許認可

こんにちは、あらかつ行政書士事務所です。

今回は、農家のご家族が親の農地を使用貸借(無償貸与)で借りて、自分名義で住宅(農家住宅)を建てたいと考えた場合に、どのような許可手続きが必要になるのか、詳しく・分かりやすく解説していきます。

✅ こんなケースを想定しています

  • 親が農業をしていて農地を所有している
  • 子がその農地の一部を借りて、そこに自分の家を建てたい
  • 子も将来的に農業を継ぐ予定であり、住宅を建てたいと考えている

🔷 なぜ許可が必要なのか?

農地は、原則として農業以外の用途には使えません。
住宅を建てる場合は、農地を宅地に転用することになるため、いくつかの法律に基づく許可が必要になります。

特に市街化調整区域内の農地であれば、農地法のほかに、都市計画法・建築基準法にも関わるため、複数の許可を順に取得していく必要があります。

✅ 手続きの全体フロー(市街化調整区域を前提)

① 事前相談(市町村・農業委員会等)  
   ↓
② 農地転用許可申請(農地法第5条)
   ↓
③ 開発許可申請(都市計画法第29条)
   ↓
④ 建築許可申請(都市計画法第43条)
   ↓
⑤ 建築確認申請(建築基準法)
   ↓
⑥ 着工・工事完了・完了報告・登記

以下に、それぞれの手続きを順番に詳しく解説します。

① 事前相談(最初のステップ)

まず最初に行うべきなのは、市役所や町役場、農業委員会への事前相談です。
この段階で以下のことを確認しましょう:

  • 対象地が市街化区域か、市街化調整区域か
  • どの法律に基づく許可が必要か(農地法・都市計画法など)
  • 建物の建築が認められる見込みがあるか(建築許可が下りる条件を満たすか)
  • 用途や面積によっては、開発許可が不要なケースもあるため、その点も確認

💡アドバイス:役所では都市計画課・建築指導課・農業委員会など、複数の部署にまたがることがあるので、同時並行で確認をとるとスムーズです。

② 農地転用許可申請(農地法第5条)

親の土地を子が使用貸借(無償)で借りて住宅を建てる場合、農地法第5条に基づく許可が必要です。

  • 申請先:農業委員会経由で都道府県知事
  • 必要な資料:使用貸借契約書、位置図、公図、建物の配置図など
  • 審査のポイント:農家住宅として適切な立地か/借主が農業を継続する意思があるか

③ 開発許可申請(都市計画法第29条)

次に必要となるのが、開発行為に関する許可です。
「開発行為」とは、宅地造成や建築物の建築を目的とした土地の区画形質の変更等をいいます。

  • 対象区域:主に市街化調整区域
  • 対象行為:造成、盛土、排水施設整備などを伴う場合
  • 申請先:都道府県または市の都市計画課
  • 申請内容:開発区域図、造成計画図、排水計画図、近隣住民への説明結果など

💡注意点:この段階では、住民説明会や看板設置などが求められるケースがあります。

④ 建築許可申請(都市計画法第43条)

市街化調整区域では、開発許可とは別に、**建築行為自体に対する許可(43条)**が必要になります。

  • 対象者:農業従事者であり、農地に農家住宅を建てる者
  • 申請先:市町村や県の建築指導課
  • 提出書類:建築予定地の位置図、農業従事証明、農業計画書など

この43条許可は、市街化調整区域内で一定の条件を満たした人に限って例外的に建築を許可する制度であるため、申請の際には十分な準備と根拠が必要です。

⑤ 建築確認申請(建築基準法)

上記すべての許可が下りた後に、はじめて建築確認申請に進むことができます。

  • 申請先:民間の指定確認検査機関 または 市町村の建築主事
  • 内容:建築物の構造、安全性、用途、接道状況などの審査
  • 提出図面:平面図、立面図、断面図、配置図、構造計算書など

💡ポイント:建築確認が下りることで、はじめて合法的に工事に着手できます。

✅ まとめ:農地を借りて家を建てるためのポイント

手続き主な目的注意点
事前相談必要な手続きを整理各部署に確認をとること
農地法第5条許可転用+使用貸借の許可書面契約・農家住宅の合理性
開発許可(29条)宅地造成・土地改変の許可面積や造成の有無で不要な場合も
建築許可(43条)市街化調整区域の建築の特例農業従事要件などあり
建築確認建物そのものの審査すべての許可後に申請可能

📝 最後に

農地に家を建てるという行為は、一見簡単に思えても実際には複数の法律が絡む複雑な手続きとなります。

特に「親の土地を借りて子が家を建てる」というケースでは、農地法第5条の扱い・建築許可の条件・農家としての実態証明など、注意点が多くあります。

ご不安がある方は、ぜひ専門家(行政書士・建築士・土地家屋調査士等)にご相談されることをおすすめします。

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農地転用許可制度について(農林水産省HP)

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