技能実習制度の改変の情報が最近増えています。令和6年2月9日の政府方針をまとめてみました
総論
〇現行の技能実習制度は解消し、新たに育成就労制度を創設する
〇企業単独型技能実習は、育成就労制度とは別に受け入れを検討
〇特定技能制度については、適正化を図った上で存続
技能実習制度は廃止、新たに育成就労制度が始まります。特定技能制度は継続です
a
受入れ対象分野
〇育成就労制度の受入れ対象分野は、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく、新たに設定するものとする。
〇育成就労制度は、受入れ対象分野を特定技能制度における「特定産業分野」に限るものとする。
〇技能実習2号移行対象職種のうち、対応する特定産業分野が設定されているものについては、原則として受入れ対象分野として認める方向で検討する。それ以外の職種については、特定産業分野への追加について検討を進める。
育成就労制度の受入れ対象分野は特定技能制度における「特定産業分野」に限られます
a
外国人の人材育成
〇育成就労制度は、基本的に3年間の就労を通じた育成期間において、特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指すものとし、特定技能制度と連続性を持たせる。
〇育成就労制度で外国人が従事できる業務の範囲は、現行の技能実習制度よりも幅広くして特定技能制度における業務区分と同一とする。
〇特定技能外国人に対する支援にキャリア形成の支援を加える
育成就労制度は特定技能への移行に向けた人材育成機能です
a
人材育成の評価方法
○ 育成就労制度では、外国人が就労開始前までに日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格すること又は相当する日本語講習を認定日本語教育機関等において受講することを要件とする。
○ 外国人の技能修得状況等を評価するため、受入れ機関は、育成就労制度による受入れ後1年経過時までに技能検定試験基礎級等及び日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等。ただし、既に試験に合格している場合を除く。)を外国人に受験させる。
○ 育成就労制度から特定技能1号への移行時には、技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験及び日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)の合格を要件とし、受入れ機関が外国人に当該試験を受験させる。
○ 特定技能1号から特定技能2号への移行時には、従前の特定技能2号評価試験等の合格に加え、日本語能力B1相当以上の試験(日本語能力試験N3等)の合格を要件とする。
○ 上記各段階における日本語能力に関しては、現行の技能実習制度における取扱いを踏まえ、各受入れ対象分野でより高い水準の試験の合格を要件とすることを可能とする。
○ 育成就労制度で育成を受けたものの、特定技能1号への移行に必要な試験等に不合格となった者については、同一の受入れ機関での就労を継続する場合に限り、再受験に必要な範囲で最長1年の在留継続を認める
技能実習2号を良好に終了した人の特定技能への移行が明記されていません
a
転籍
以下の要件をいずれも満たす場合には、同一業務区分内に限り、外国人本人の意向による転籍を認める
ア 同一の受入れ機関において就労した期間が一定の期間を超えていること
イ 技能検定試験基礎級等及び一定の水準以上の日本語能力に係る試験に合格していること
ウ 転籍先となる受入れ機関が、転籍先として適切であると認められる一定の要件を満たすこと
なお、アの「一定の期間」については、当分の間、各受入れ対象分野の業務内容等を踏まえ、受入れ対象分野ごとに1年から2年までの範囲内で設定するものとする。
技能実習制度で禁止されていた転籍が認められるようになります
あ
まとめ
技能実習制度の問題点は今まで多く指摘されてきましたが、今回の政府方針で方向性は見えてきました。技能実習生(育成就労生)の転籍等の規定が定められ、前向きに評価できる点もありますが、受け入れ期間、管理支援機関、登録支援機関にとっては、よりしっかりした体制の構築が求められるものと思われます。実習生に対する法令違反は会社の存続に直結します。しっかり法律を理解することが大切です。