離婚調停とは
離婚について当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には,家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
離婚調停では,離婚そのものだけでなく,子の親権者,養育費,同居しない親と子との面会交流,夫婦の財産の分け方(財産分与),年金分割,慰謝料などの問題についても話し合うことができます。
調停を申し立てる家庭裁判所は,相手方の住所地を管轄区域(担当区域)とする家庭裁判所,あるいは当事者が合意で定める家庭裁判所です。
離婚調停の手続き
離婚調停では調停委員会(裁判官1名と民間から選ばれた調停委員2名以上で構成)が,離婚,親権,養育費,子との面会交流,財産分与,年金分割,慰謝料などについて,双方から話を聞きます。また,必要に応じて,資料を提出してもらいます。
調停委員会が話を聞くに当たっては,話しやすいように,双方から個別に話を聞くこともあります。また,遠方に居住しているなどの事情が認められる場合には,調停が行われている裁判所ではなく,最寄りの裁判所や依頼した弁護士の事務所などから電話で調停に参加したり,最寄りの裁判所からテレビ会議で調停に参加したりすることもできます。
調停委員会は,双方に解決案を提示したり,解決のための助言をしたりして,合意を目指した話合いを進めます。
離婚調停の成立
当事者が合意に至ると,調停委員会が合意事項を最終確認し,調停は終了します(調停成立)。
調停が成立すると,裁判所は,合意内容等を記載した書面(調停調書)を作成します。当事者は,調停調書の正式な写し(正本・謄本)を申請することができます。調停調書の正本・謄本は,調停での合意内容を証明する書面となります。
調停において当事者が離婚に合意すると,離婚が成立します。さらに,調停で養育費について合意すると,当事者は法的な支払義務を負います。支払がない場合には,家庭裁判所による支払の勧告(履行勧告)の申出をすることができます。また,支払がない場合には,地方裁判所において強制執行が可能になります。
離婚はせず,今後の夫婦の生活費(婚姻費用)の分担などについて合意することもできます
離婚調停の不成立
話合いがまとまらない場合には,調停委員会の判断により,調停は終了します(調停不成立)。離婚調停は,養育費や婚姻費用分担などの調停とは異なり,調停不成立となっても審判手続には移行しません。
更に裁判手続による離婚を求める場合には,家庭裁判所において,離婚訴訟(人事訴訟)を提起する必要があります。離婚訴訟の中で,離婚後の養育費の支払を求めることもできます。
Q&A
Q:離婚調停の申立てには,どのような書類が必要ですか
離婚調停の申立てに必要な主な書類は以下のとおりです。
- 申立書及びその写し1通
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 【離婚後の養育費の取決めを求める場合】申立人の収入に関する資料(源泉徴収票,給与明細,確定申告書,非課税証明書などの写し)
- 【年金分割割合についての取決めを求める場合】年金分割のための情報通知書
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Q:審判とはどのようなものですか
裁判官が,当事者双方から聴取した内容,提出された資料,家庭裁判所調査官の行った調査の結果等種々の資料に基づいて,養育費などについて決定する手続です。
裁判所は,決定(審判)の内容が記載された書面(審判書)を作成し,双方に告知します。
当事者は,審判の内容に不服がある場合には,不服申立て(即時抗告)をして,高等裁判所で更に争うことができます。不服申立てがなければ,あるいは,不服申立てが退けられれば,審判は確定します。
確定した審判において定められた養育費/婚姻費用について,当事者は法的な支払義務を負います。支払がない場合には,家庭裁判所による支払の勧告(履行勧告)の申出をすることができます。また,支払がない場合には,地方裁判所において強制執行が可能になります。