戸建住宅やマンションなどを活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供する「民泊サービス」は、ここ数年日本でも急速に普及しています。
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住宅宿泊事業法による民泊(宿泊日数180日以内場合)
旅館業法の営業者以外の方が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業で、1年間(4月1日正午から翌年の4月1日正午まで)で提供できる日数が180日以内のものです。180日を超えた場合は、旅館業に該当します。
使用できる住居
家屋内に宿泊者が使用できる台所(シンク、加熱調理器具)、浴室、便所及び洗面設備が設けられているとともに、以下に該当する家屋です
○現に人の生活の本拠として使用されている家屋
○入居者の募集、分譲が行われている家屋
○所有者等により年1回以上は使用されているなど、随時居住の用に供されている家屋
【随時居住の用に供されている家屋の具体例】
・別荘等季節に応じて年数回程度利用している家屋
・休日のみ生活しているセカンドハウス
・転勤により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来的に再度居住の用に供するために所有している空き家
・相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住の用に供することを予定している空き家
・生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家
注意点
・分譲マンションの場合は、マンション管理規約に宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがないこと
・賃貸住宅等の場合は、賃貸人等が宿泊事業をすることを目的とした転貸を禁止していないこと
・届出予定の住宅がある地域(地区)が、宿泊事業が可能である地域であること(市町村条例等)
ー空き家対策には有効ですー
民泊事業者の業務上の注意点
衛生管理
(1)宿泊者
・居室の床面積は、宿泊者1人当たり 3.3 ㎡以上確保する必要があります
「居室の床面積」とは、宿泊者が占有する面積のことを表し、宿泊者の占有ではない台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れ、床の間は含まれません。
(2)定期的な清掃及び換気
・設備や備品等を清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないように除湿をおこなわなければなりません
・宿泊者ごとに洗濯した寝具のシーツ、カバー等を取り替えなければなりません
(3)浴室等の管理(レジオネラ症の防止対策)
レジオネラ症とはレジオネラ属菌が原因で起こる感染症で、患者が発生したときには、医療機関は保健所への届出が義務付けられています。浴槽にヌメリを発生させないよう定期的に清掃、洗浄を行う必要があります
・循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂、24 時間風呂など)は宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯を抜きます
・加湿器は宿泊者が入れ替わるごとに水を交換する必要があります
(4)宿泊者に対する飲食の提供
・食品営業許可等を取得した場合を除き、宿泊者に対し、届出住宅において飲食を提供することはできません。食事を専ら宿泊者客に提供するために許可を取得した場合は、宿泊者が使用できる台所を別に設ける必要があります。
注意
宿泊者が、人から人に感染するような重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症に罹患した場合やその疑いがあるときは、医療機関を受診させるとともに、健康福祉センター(保健所)に通報し、指示を受けるようにします
外国人観光客の快適性及び利便性の確保
住宅宿泊事業者は、外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るための必要な措置を講じる必要があります。
(1)外国語を用いて案内する内容
・届出住宅の設備の使用方法に関する案内
・移動のための交通手段に関する情報
・火災・地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先の案内他(消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者等)
(2)提供の方法
・必要な事項が記載された書面を居室に備え付けておくことや、タブレット端末への表示
特に、災害時等の通報連絡先においては、緊急時に速やかに確認することが可能なものを備え付けておく必要があります。
宿泊者名簿の備え付け等
住宅宿泊事業者は、正確な記載を確保するための措置を講じた上で、宿泊者名簿を記載する必要があります。
(1)宿泊者名簿の記載事項(宿泊者全員を記載、代表者のみは不可)
・宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日
・宿泊者が国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号(旅券の呈示を求める
とともに、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存)
(2)宿泊者名簿の保存等
・宿泊者名簿は3年間保存
・届出住宅や住宅宿泊事業者の営業所又は事務所のいずれかの場所に宿泊者名簿を備え、県から求めがあったときは提出しなければなりません。
(3)本人確認
・宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置として、宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて本人確認を行う必要あり
対面又は対面と同等の手段として、①②いずれも満たす ICT(情報通信技術)を活用した方法により行う必要があります
①宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。
②その画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所など、届出住宅内又は届出住宅の近くから発信されていることが確認できること
例)届出住宅などに備え付けたテレビ電話やタブレット端末等
(4)長期滞在者に対して
・長期滞在者には、定期的な清掃の際に、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に
宿泊することがないよう、不審なものが滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないかなどについての確認
特に宿泊契約が 7 日以上の場合には、定期的な面会等により確認を行う必要があります。
周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明
住宅宿泊事業者は、宿泊者に対して(外国人に対しては外国語を用いて)、以下①~④について、書面の備え付けやその他適切な方法により説明する必要があります。
(1)説明が必要な事項
① 騒音防止のために配慮すべき事項
・大声での会話を控えること
・深夜には窓を閉めること
・バルコニー等野外で宴会を開かないこと
・届出住宅内では楽器を使用しないこと 等
② ごみの処理に関し配慮すべき事項
・住宅宿泊事業に起因して発生したゴミの取扱いは、事業系ゴミ(事業活動に伴って生じた廃棄物)として処理することになります。住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければなりません
・宿泊者のゴミによる、周辺地域の生活環境への悪影響を防止するため、住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、届出住宅内で排出したゴミについて、各市町村の廃棄物の分別方法等に沿って、事業者が指定した方法で捨てるべきであることを説明する必要があります
③ 火災の防止のために配慮すべき事項
・ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法やその際の注意事項
・初期消火のための消火器の使用方法
・避難経路の説明、通報措置等
④ その他届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項
(2)説明方法
・必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることによる他、タブレット端末での表示等により、宿泊者が届出住宅に宿泊している間に必要に応じて説明事項を確認できるようにしてください。
・書面の備え付けに当たっては、宿泊者の目につきやすい場所に掲示することにより、宿泊者の注意喚起を図るうえで、効果的な方法で行う必要があります。
・これらの説明が確実になされるように、居室内に電話を備え付けるなど、事前説明に応じない宿泊者に対し注意喚起できるようにする必要があります。
苦情等への対応
住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情や問い合わせに、適切かつ迅速に対応しなければなりません。
・トラブルを避けるためにも、営業を開始する前に周辺住民の方々に対して、住宅宿泊事業を営むことを説明するように努めなければいけません
・苦情等への対応は、深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応する必要があります
・宿泊者が滞在していない間も、苦情や問い合わせには対応しなければなりません。誠実に対応することが必要であり、例えば回答を一時的に保留する場合であっても、相手方に回答期日を明示した上で後日回答するなどの配慮が必要です。
・滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、その宿泊者に対して注意等を行っても改善されないような場合には、現場に急行して退室を求めるなどの対応を講じる必要があります。また、委託を受けた住宅宿泊管理業者が退室を求める場合には、宿泊契約の解除の権限をあらかじめ委託者から得ておく必要があります。
・苦情や問い合わせが、緊急を要する場合には、必要に応じて、警察署、消防署、医療機関等のしかるべき機関に連絡した後、自らも現場に急行して対応します
・住宅宿泊管理業者に委託する場合、苦情に対する現場における対応は、おおむね30分以内、交通事情ですぐに到着できない場合でも60分以内に着手する必要があります
ポイント
・民泊事業者は管理業務を住宅宿泊管理業者に委託することができます。(場合によっては委託しなければなりません)
その時も住宅宿泊管理業者から報告書を受理し、対応をしっかり行ってもらう必要があります。
・民泊事業者は宿泊のサービス契約の締結を他社に委託する時は、住宅宿泊仲介業者又は旅行業者に委託しなければなりません
・民泊事業者は宿泊状況を2か月ごとに報告する必要があります
旅館業法(簡易宿泊営業)による民泊(宿泊日数180日超の場)
簡易宿所営業の許可 基準
・客室の延床面積 は、33平方メートル(宿泊者の数を10人未満とする場合には、3.3平方メートルに当該宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること
・階層式寝台を有する場合には、上段と下段の間隔は、おおむね1メートル以上であること
・適当な 換気、採光、照明、防湿及び排水の設備 を有すること
・当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる規模の 入浴設備 を有すること
・宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の 洗面設備 を有すること
・適当な数の 便所 を有すること
その他都道府県が条例で定める構造設備の基準 に適合すること 。
ポイント1
平成28年に簡易宿所の許可基準が緩和されたことで、従来より容易に簡易宿泊営業の許可が取れるようになりました
180日以内の制限がないため、こちらのほうが有利との考え方もあります。近年、簡易宿所で民泊を始める人も増えています。
住宅を旅館(簡易宿所)変更する場合の注意点
住宅宿泊事業法による施設は住宅と同等の取り扱いですが、簡易宿所は旅館業に準ずるため、条件が異なります
立地条件
立地条件といっても集客のしやすさではなく、都市計画法上の用途地域が問題になります。
旅館業ができるものは第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域です
建物の用途変更
住宅から旅館へ使用用途を変える場合は、次のような建築基準法等の条件をクリアする必要があります。
耐火性能の確保、排煙設備の設置、非常用照明装置の設置、階段の寸法、手すりの設置など、廊下の幅、間仕切り壁の使用、2以上の直通階段の設置など
また、建ぺい率や容積率にも注意が必要です。古い建物の場合は既存不適格や違法建築の恐れもあります。
住宅を簡易宿所にして民泊を始める場合は建築基準法、都市計画法等に注意
住宅の有効利用などで民泊をお考えの方はお気軽にご相談願います
報酬
住宅宿泊事業届出 | 120,000円~ |
旅館業許可申請 | 180,000円~ |
*別途実費(印紙代等)がかかります
*上記金額はあくまでも目安です。別途見積りを提示します
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