コラム

不法残留(オーバーステイ)になった時の対応

2024年3月26日 外国人ビザ

たまにですが、不法滞在になってしまった外国の方(その知り合いの方)から、何とか日本に滞在する方法はないかといった相談があります。
そういった点に関して、簡単に説明したいと思います。

不法残留とは

入管法に基づき合法的に在留することができる期間経過後も本邦に滞在することを不法残留と呼びます。令和5年調査の不法残留者数は、8万人弱と年々増加する傾向にあります。

出国命令、退去強制、在留特別許可

では不法滞残留になった場合はどのような処置になるのでしょうか。大きく分けて上記の3通りが考えられます。

出国命令

帰国する意思でオーバーステイの外国人が自ら入管に出頭した場合には、収容、退去強制手続きが取られることなく、15日以内の出国期限を定められて出国することになります。期限内に出国しないときは強制退去手続きが取られます。
ただし、不法入国、不法上陸、摘発された時、後述の在留特別許可を求めた場合は、出国命令の制度を利用することはできません。


出国命令の該当事項は次のように定められています
1.速やかに出国することを希望して、自ら地方出入国在留管理局に出頭したこと
2.違反が不法残留のみであること
3.窃盗その他一定の罪により懲役刑等の判決を受けていないこと
4.これまでに強制送還されたり、出国命令により出国したことがないこと
5.速やかに出国することが確実であること

退去強制

出国命令以外の場合は、退去強制手続きが取られます。手続きの流れは次のようになります。

1.違反調査
自ら出頭、警察、入管による摘発の場合、まずは入国警備官による違反調査が行われます。原則、収容されることになりますが、自ら出頭した場合などはその場で仮放免(在宅調査)になることが多いです。
2.違反審査
入国審査官による違反審査が行われます。退去強制に該当していると認定された場合は、退去強制となります。認定に異議がある場合は、口頭審理を要求します。在留を希望する場合は口頭審理を要求する必要があります。
3.口頭審理
特別審理官が口頭審理を行います。審理の結果、違反認定に誤りがないと判定された場合は、退去強制になります。それでも在留を希望する場合は、3日以内に法務大臣に特別許可を申請します。口頭審理には弁護士等の代理人が立会いできます。

在留特別許可

退去強制事由に該当する外国人は退去強制されるのが原則です。しかし例外的に法務大臣が特別な事情を認めて、在留を許可することがあります。これが在留特別許可です。
次のようなことがプラスに判断されます。
(1)当該外国人が,日本人の子又は特別永住者の子であること
(2)当該外国人が,日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合
(3)当該外国人が,日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために,婚姻を仮装し,又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く。)
(4)当該外国人が,本邦の初等・中等教育機関(母国語による教育を行っている教育機関を除く。)に在学し相当期間本邦に在住している実子と同居し,当該実子を監護及び養育していること
(5)当該外国人が,難病等により本邦での治療を必要としていること,又はこのような治療を要する親族を看護することが必要と認められる者であること
在留特別許可に係るガイドライン

在留特別許可が認められず退去強制令書が発付された場合には、不服申し立てとしては行政訴訟しか残されていません。

外国人ビザ、その他のご相談はお気軽に連絡願います

動画による解説

補助金、外国人ビザ、各種許認可等について動画で解説しております。

全て10分以内の動画ですので、是非、ご視聴ください。

お問合せ

お気軽にお問合せください