在留特別許可の手続き

「在留特別許可」申請が正式な手続きとして定められました。在留特別許可で不法滞在(残留)を解消できる可能性があります

在留特別許可とは

在留特別許可とは、強制送還の対象となった外国人について、在留を特別に許可すべき事情があると法務大臣が認めた場合に、強制送還を免除して在留を継続させる制度です。日本に在留する外国人が不法な在留をしていると認定された場合は、いくつかの審査を経て最終的に法務大臣の裁決という最終段階に至ります。最終審査である法務大臣による裁決において、やはり強制送還に該当すると認められた場合は、その外国人は原則は強制送還に基づく出国準備に入ります。しかし、その強制送還の対象者の中でも、日本人の配偶者が居る場合や小さなお子さんがいる場合など、一定の特別の事情がある場合は特別に在留が認められます。その恩恵的制度が在留特別許可です

2019年に法務大臣が在留を特別に許可した件数は1,448件です。在留特別許可を受けた外国人の多くは,日本人と婚姻するなど,日本人等との密接な身分関係を有し,様々な面で我が国に生活の基盤を築いている状況にある人です。在留特別許可件数を退去強制事由別に見ると,不法残留が1,051件(72.6%),不法入国・不法上陸が128件(8.8%)となっており,不法残留,不法入国・不法上陸で全体の81.4%を占めています

在留特別許可の基準

1.永住許可を受けているとき
2.かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
3.人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき
4.難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けているとき
5.その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき

その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき

在留特別許可を行う場合について、法律には上記の1~5までの場合が挙げられています。特に5の「特別に在留を許可すべき事情がある」場合がどのような事情であるかについてはガイドラインが公表されています。

家族関係
家族関係は、在留特別許可をするかどうかの判断において、重要な要素となり得るものであり、中でも家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性は、積極要素として考慮されます。

素行
在留特別許可をするかどうかの判断において、当該外国人の素行が善良であることがあります。当該外国人が地域社会において相当程度活動したり、本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けていること、雇用主等の支援の内容が十分なものであることなど、地域社会に溶け込み、貢献している事情が認められる場合には積極要素として考慮されます。その中でも、社会、経済、文化等の各分野において、本邦に貢献し不可欠な役割を担っていると認められることは、特に考慮する積極要素となります。
これに対し、過去に退去強制手続又は出国命令手続をとられたことがあること、刑罰法令違反に及んだことがあること、仮放免又は監理措置中に逃亡又は条件に違反したこと、適正に納税義務を果たしていないこと、生活する地域のルールを守らない迷惑行為を繰り返すなどの素行が善良ではない場合には消極要素として考慮されます。

本邦に入国することとなった経緯
適法に入国したことは当然の前提であるため、積極要素とはなりませんが、本邦に入国することとなった経緯に人道上の配慮の必要性等が認められる場合には、その程度に応じて積極要素として考慮されます。インドシナ難民、第三国定住難民、中国残留邦人であることは、特に考慮する積極要素となります。

本邦に在留している期間、その間の法的地位
我が国に適法に滞在していることは、当然の前提であるため積極要素とはなりませんが、在留資格に基づく活動又は身分若しくは地位を有するものとしての活動を行っていた場合には、そのような期間が長期であることなどは、積極要素として考慮されます。
これに対し、不法残留している場合又は不法入国後に不法に在留を続けている場合には、不法に滞在する期間が長期であることなどは、在留管理秩序を侵害する程度が大きいといえ、消極要素として考慮されます

退去強制の理由となった事実
退去強制事由となった事実は、その反社会性の程度に応じて消極要素として考慮されます

人道上の配慮の必要性
人道上の配慮の必要性はその程度に応じて積極要素として考慮されます。その中でも、特に考慮する積極要素として、以下のものが挙げられます。
(1)当該外国人が、難病等により本邦での治療を必要としていること、又はこのような治療を要する親族を看護することが必要と認められる者であること
(2)当該外国人が、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けていなくとも、その本国における情勢不安に照らし、当該外国人が帰国困難な状況があることが客観的に明らかであること
(3)当該外国人が、いずれの国籍又は市民権も有しておらず送還できない者であること

内外の諸情勢、本邦における不法滞在者に与える影響
内外の諸情勢、本邦における不法滞在者に与える影響としては、具体的には、国内の治安や善良な風俗の維持、労働市場の安定等の政治、社会等の諸情勢、当該外国人の本国情勢、本邦における不法滞在者に与える影響等が考慮されます。

在留特別許可を得るには

法務省の「ガイドライン」では,入管に出頭していることが在留特別許可を「する」事情として考慮されるます。よって退去強制に当たることが分かっている,もしくは近い将来確実にあたることになる場合であれば,入管に出頭することで在留特別許可を求めることになります。

しかし進んで出頭した場合には「藪蛇になってしまう」という危険もあります。自分から「退去強制される事情があります」と申告することになるため,否応なく違反調査が始まることになります。本来であれば入管が知り得なかった事情まで自白することになりますし,違反調査を早めてしまうこともあります。また、違反調査がなされることで収容令書が出される可能性もあります。
退去強制令書が発布されて執行される可能性もあります。在留特別許可とは,本来であれば退去強制される人に対して特別に在留を許可するというものです。在留特別許可が認められないときには本来の手続に従って退去強制がなされ,5年間(2回目以降の退去強制であれば10年間)再入国が出来なくなります。

「強制送還されるかどうか分からないけれども入管に自主申告したら有利に扱ってもらえるだろう」と安易に出頭するのは危険です。きちんと専門家のアドバイスを受けたうえで検討した方が良いと思われます。

在留資格が許可された場合

在留特別許可を取得することで新たな在留資格と在留期間が認定されます。在留特別許可の事情にもよりますが、新たな在留資格を付与されてそのまま日本での在留を継続できるケースもあれば、「特定活動」の在留資格を付与されて一時的に在留できるケースもあります。

まとめ

在留特別許可とは、本来であれば日本から退去強制されるべき外国人に対して例外的に在留を許可する特例的な措置です。不法滞在者でも退去強制を免れるなどのメリットがありますが、必ずしも許可されるわけではありません。

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