コラム

外国人を養子にするとき

2024年4月11日 外国人ビザ

外国人を養子にしたいという日本人の方が増えています。外国人を養子にするにはどんな手続きが必要なのでしょうか。また法律はどのようになっているのでしょうか。簡単に説明したいと思います。

日本国内(日本人)だけで完結する場合は日本法に従えばよいというのは想像つきますが、外国人が関係してきた場合は、国際私法(通称:通則法)に基づいて判断されます。
外国人を養子にするときも通則法に定められています。
通則法について

通則法第三十一条(養子縁組)

養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。

上記の通り養子縁組の問題はすべて養親の本国法によりますので、養親が日本人の場合は養子の国籍が何であろうと日本の法律に基づきます。
ただ条文の後半に条件が付け加えられており、これをセーフガード条項と呼んでいます。養子の本国法が養子を保護するための要件を求めているときは、それに応じた第3者や公的機関の許可等を備える必要があります。

通則法第三十四条(親族関係についての法律行為の方式)

1 親族関係についての法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法による。
2 前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。

では具体的にどのような手続きを行えばよいのでしょう。
それは通則法の34条に定められており、本件のような場合は日本法に則って行えばよいです。

普通養子縁組手続き

日本の市町村役場に備え付けてある養子縁組届に必要事項を記載し、当事者双方と成年の証人2名が署名押印して届け出ます。その際養親になる者が日本法で要件を満たしていることを証明する書類が必要です。具体的には、戸籍謄本、配偶者の同意が必要な場合は配偶者の同意書などです。
ただこの時、配偶者が外国人の時は注意が必要です。つまり当該配偶者が本国法の要件を満たしているかを証明する必要があります。
養子となる者については日本法を満たすかどうかに関係して、年齢を証明するもの(パスポート、出生証明書、身分証明書)等の提出が必要になります。
養子の本国法にセーフガード条項がある場合は、その要件が備わっているかどうかを証明する必要があります。養子の本国の官憲が発行した要件具備証明書があればそれを提出します。仮にその書類がない場合でも、第3者の承諾等他の手段によることも可能です。

その他養子が未成年の場合は原則として家庭裁判所の許可が必要になり、縁組届出の際にも養子縁組許可の審判書の謄本の添付が必要になります。
また、養子が15歳未満の場合は法定代理人の承諾が必要とされ、監護者いるときはその者の同意も必要になります。

特別養子縁組手続き

特別養子縁組の場合は、養子は家庭裁判所への請求時に6歳未満でなければならず、養親となる者は配偶者のある者でなければならない等、要件はさらに厳しくなります。
また、特別養子縁組の場合は、養子縁組自体は家庭裁判所の審判によって成立し、戸籍窓口への届け出は報告的なものになります。

その他

養子縁組によって国籍は変動しません。ただし養子縁組によって帰化条件等は緩和されます。日本人当事者の戸籍には、養子縁組関係が成立した旨の記載がなされます。
また、養親の住所への転入届により、同じ世帯として取り扱われるようになります。

養子縁組は国際私法(通則法)の関係で手続きが複雑になります。ビザ、帰化その他についてお気軽にご相談ください

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