2024年6月、永住許可(ビザ)の取消しの要件が追加された入管法が国会で可決されました。育成就労制度が新たに創設され、今後外国人が急激に増えてくることが見込まれます。こうした状況のなか、永住者に対する資格維持の要件が厳しくなりました。この見直しでは、税金や社会保険料の未納があった場合、永住許可を取り消すことができる新たな内容が含まれています。永住権はこの先どうなっていくのでしょうか
これまでの取消し要件
①虚偽の申請をして在留許可を受けたとき
②再入国許可を受けずに出国した時
③犯罪を犯し一定の刑罰に処せられた場合
④在留カードの更新手続きをしていない場合
⑤居住地登録(転居の届出)をしていない場合
今までは普通に生活していれば、まず永住資格を取り消されることはありません
新制度で追加された取消要件
①税や社会保険料の納付義務違反:住民税や国民年金保険料などの公的義務を怠った場合
②今までは1年超の懲役刑や禁錮刑を受けた場合に限られていましたが、今後は1年以下の拘禁刑(懲役・禁錮刑)を受けた場合でも、在留資格の取消対象になります
税や社会保障費等公租公課を故意に滞納をした場合、在留カードの不携帯といった些細な入管法違反を犯した場合、刑期が短期であったり執行猶予がついたとしても拘禁刑が宣告された場合など永住者の在留資格がはく奪される可能性があります
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まとめ
永住許可が取り消される事由が大幅に緩和される法改正です。そもそも税や社会保険料の滞納には、貧困など必ずしも悪質とは言えない事情が絡むことがあります。新たな制度が一部の永住者にとって非常に深刻な問題を引き起こす可能性があります。このこと自体が悪いと言い切れるかどうかは解りませんが、日本で暮らす外国人にとっては大きな不安要素だと思われます。最も安定した在留資格が安定でなくなります。政府は永住者のことを考慮して慎重に検討する方針を出していますが、今後の具体的な基準や運用方法について注意していく必要があります。